パトウ症候群(13トリソミー)とは?診断されたときに必要な心構え
近年、母親の血液だけで検査ができる新型出生前診断を受ける方が増えています。新型出生前診断でわかる染色体異常のひとつが、パトウ症候群です。パトウ症候群について聞いたことがある方は、少ないのではないでしょうか。新型出生前診断を受けるにあたって、パトウ症候群について知っておきましょう。
パトウ症候群(13トリソミー)とは
パトウ症候群とは、染色体異常の一種です。新型出生前診断ではほかにも、ダウン症候群、エドワーズ症候群などの可能性を知ることができます。一般的にヒトの染色体は、常染色体1から22番が各2本ずつと、性染色体が2本あり、合計で46本あります。
パトウ症候群とは、13番目の染色体が通常よりも1本多くなる染色体異常です。このことから、13トリソミーともいわれます。出生児の5,000人から12,000人に1人とされています。
パトウ症候群の80%の赤ちゃんは、重い疾患をかかえており、生後1ヶ月ほどで亡くなってしまいます。1年以上生存できる赤ちゃんは、10%未満です。ダウン症候群、エドワーズ症候群、パトウ症候群というトリソミー症候群の中で、パトウ症候群が最も平均寿命が短いといわれています。
パトウ症候群の原因
母親の年齢が上がるほど、パトウ症候群を持つ赤ちゃんが生まれる可能性が高くなり、35歳以上からそのリスクが上がることがわかっています。精子と卵子の分裂や受精の過程で減数分裂の過程が上手くいかないことが原因です。その結果、13番目の染色体が3本、あるいはもう1本の一部が重複している状態になっています。これらの染色体の数の変化や量のアンバランスによって起こる、先天的な染色体異常症です。
パトウ症候群の症状
パトウ症候群における症状についてご説明します。
身体的特徴
パトウ症候群の赤ちゃんは、身体が小さい傾向にあります。また、口唇口蓋裂、小眼球症、耳介の変形、手の変形などが起こります。耳介の変形から難聴になることもあります。
合併症
およそ80%の確率で先天性心疾患をかかえています。中枢神経系では、全前脳胞症・けいれん、呼吸器系では無呼吸発作、その他泌尿器系、内分泌系、血液学的異常があります。これらの重度の合併症をかかえており、出生後1ヶ月ほどで亡くなる赤ちゃんもいます。そもそも、染色体異常を治療することはできません。これらの合併症に対して治療することで赤ちゃんの生命を守ります。
パトウ症候群の症例が少ないことから、どのようなケアが必要かを判断することが難しかったようですが、近年では小児医療の進歩によって、在宅で過ごすケースも増えてきています。パトウ症候群の子に対する治療のあり方も多様化しており、ご家族と医療者でしっかりと話し合って治療を決定するようになりました。
パトウ症候群と診断されたときの心構え
新型出生前診断は、母親の血液だけで検査できるため注目されています。また、80~90%前後の確率で胎児の染色体異常を予見することが可能となっています。しかし、新型出生前診断は確定診断ではありません。染色体異常の可能性が高いとなれば、その後に確定的診断を行う必要があります。
確定的診断として行われる羊水検査・絨毛検査は、お腹に針を刺すため流死産のリスクがあるため、確定診断を受けることも視野に知れて新型出生前診断を受けましょう。確定診断を受けたご家族は、大きなショックを受けるかもしれません。その後は、冷静にゆっくりと考える余裕がなくなっても仕方ありません。だからこそ、検査を受けるときには、正しい知識を持って、事前に陽性になったらどうするかというところまで考えて受けましょう。
そして、しっかりとカウンセリングをしてくれるところで検査を受けるようにしてください。赤ちゃんが重度の心疾患などの場合には、出生後すぐに手術や新生児集中治療が必要になることがあります。どこの病院でも対応できるわけではないので、医療設備の整った病院にうつって出産に備える必要があります。重度の疾患をかかえる子や、障がいのある子を育てるには不安があるかと思います。
ほかの赤ちゃんをみて、心が痛むこともあるでしょう。医療関係者だけでなく、家族や周りのサポートも必要になります。身体的にも精神的にも、サポートしてもらえる環境を整えておくことが大切です。新型出生前診断でパトウ症候群を早期に発見することで、出産に備えて準備をすることができます。
まとめ
今回は、パトウ症候群についてご説明しました。妊娠・出産は、喜びとともに不安もつきものです。親には新型出生前診断で「知る権利」が与えられています。現在は、以前よりも制限が少なく新型出生前診断を受けることができます。赤ちゃんとご家族のために、丁寧なカウンセリングを受けて、正しい知識を持って新型出生前診断を受けてください。診断されたときに、なるべく冷静に判断できるように、診断後はどうするかということまで考えたうえで検査を受ける必要があります。診断後は辛いこともありますが、周囲の方にサポートしてもらいましょう。ご家族だけで抱え込まず、ぜひ医療機関や社会資源も活用してください。