新型出生前診断を受けることで分かる疾患について解説!
胎児の染色体異常と先天性異常が分かる新型出生前診断について知りたい人に、今回の記事はおすすめです。2013年に日本でも導入されるようになったこちらの検査は、従来の出生前診断と比較すると、母体への負担が少なくて済みます。また、胎児にダメージを与えない特徴があります。検査を受診することで分かる疾患について見ていきましょう。
新型出生前診断とはどのような検査?
母体の負担が少なく、胎児にダメージを与えない検査として、近年注目を集めています。
最近注目されている検査
従来の出生前診断とは異なり、2013年に日本でも導入されるようになった検査です。NIPTと海外ではいわれていますが、日本では新型出生前診断となっています。
胎児の情報を出生前に知れる検査
こちらの検査では、胎児の染色体異常や先天性異常が見つけられます。現在、身体的症状がない人でも検査を受診できます。
ほかの出生前診断との違い
まず、羊水を採取する羊水検査では、1,000人に1~3人の頻度で流産する可能性があります。検査期間は妊娠15~18週です。次に、胎盤の一部を採取する絨毛検査では、100人に1人の頻度で流産する可能性があります。検査期間は妊娠10~13週です。
そして、母体を採血する新型出生前診断では、流産のリスクはありません。検査期間は妊娠10~16週です。このことから、胎児にダメージを与えることなく検査を受診できることが分かります。しかし、こちらの検査は、スクリーニング検査なので確定検査ではありません。そのため、診断結果を求める場合は、羊水検査や絨毛検査を受診する必要があります。
新型出生前診断の特徴
胎児にダメージを与えることなく検査ができる、妊娠初期の早い段階から検査を受診できる、検査の精度が99%と高いことが特徴として挙げられます。
染色体の仕組みを理解しよう!
DNAと遺伝子について紹介します。
DNAとは
アデニン、チミン、グアシン、シトシンの組み合わせがDNAを配列しています。そして、人間のDNAは、99.9%が同じです。残りの0.1%が多様性を決定します。たとえば、目の色や皮膚の色、髪の毛の質などの身体的特徴です。
遺伝子について
遺伝子は親から子へ受け継がれるものとして、近年は注目されています。病気や障害などの種類にもよりますが、遺伝的影響を大きく受ける場合があるからです。しかし、すべての病気が遺伝子で受け継がれるわけではありません。たとえば、がんや糖尿病などの生活習慣病は、遺伝的要因は30%程度で、残りの70%は生活習慣が要因といわれています。つまり、日々の習慣が病気に直接的な影響を与えるということになります。
新型出生前診断を受けることで分かる疾患
21トリソミー、13トリソミー、18トリソミー、ターナー症候群、クラインフェルター症候群について見つけられます。
21トミソリー
ダウン症の症状の有無が分かります。21番目の染色体が通常2本の状態ですが3本あります。頻度は出生児600~800人に1人となっています。主な症状は、頭の大きさが小さい傾向があることに加え、身体的特徴、筋緊張低下、発達の遅れがあります。心臓や消化器に疾患を抱える子どももいるので、手術などで治療します。心臓に疾患を抱える子どもはおよそ50%、消化器に疾患を抱える子どもはおよそ10%といわれています。
13トミソリー
パトウ症候群の症状の有無が分かります。13番目の染色体が通常2本の状態ですが3本あります。頻度は出生児5,000~1万2,000人に1人となっています。主な症状は、小頭症、頭皮欠損、口唇口蓋裂です。母親の胎内で動くことが少ないため、頭の大きさが小さい状態で生まれてきます。また、脳の発達に遅れがみられるので、重度の知的障害が出現することがあります。
18トミソリー
エドワーズ症候群の症状の有無が分かります。18番目の染色体が通常2本の状態ですが3本あります。頻度は出生児3,500~8,500人に1人となっています。主な症状は、成長障害、身体的特徴、先天性心疾患です。小さい体で生まれてくるので、泣き声が小さいのが特徴的です。これは筋肉の発達がよくないため起こります。しかし、生まれたときには、身体的特徴が見られないケースもあります。現在、18トリソミーの治療はなく、生後1週間以内に半数の赤ちゃんが死亡します。また、1歳まで生きられるのは10%と低い確率になっています。
ターナー症候群
X染色体の一部に欠失があります。また、完全に欠失している場合もあります。頻度は女児2,500人に1人となっています。主な症状は、先天性心疾患、性成熟の遅れ、学習障害、生殖能力の欠如です。
クラインフェルター症候群
X染色体が1本多い状態です。頻度は男児500人に1人となっています。主な症状は、学習障害、女性化乳房、生殖能力の欠如です。
まとめ
スクリーニング検査ではありますが、判定に高い精度を持っている新型出生前診断を受診する妊婦さんは増加傾向です。妊娠初期の早い段階から受診できる検査として、羊水検査や絨毛検査よりも前に診断を受診するとよいでしょう。母体への負担が少なくて済むこちらの検査では、胎児の染色体異常と先天性異常が見つかります。しかし、確定検査を受けるまでは、あくまで可能性がある状態にとどまるので、陽性判定となった場合は確定検査に進みましょう。