新型出生前診断とクアトロテストは何が違うの?
新型出生前診断、そしてクアトロテストをご存じでしょうか?いずれも胎児に遺伝子疾患などがないか調べるための検査ですが、それぞれ異なる特徴があります。普段あまり聞き慣れない言葉のため戸惑うママも多いかもしれませんが、この記事ではとくにクアトロテストについて解説していきます。これから検査を受ける方はぜひ、参考にしてください。
クアトロテストとは
母体の血液中にある構成物を分析し、遺伝子疾患を持つ可能性が高い胎児を洗い出すためのスクリーニング検査です。ママから採血し、血中成分を計測して検査を行います。以下、クアトロテストについて、詳しくまとめていきます。
検査の信頼性について
基本的にはママの年齢が高いほど、遺伝子疾患を持つ子が生まれる可能性は高くなります。しかしクアトロテストでは、ママの年齢を基本にした数値に「胎児が対象の疾病であった時の数値」をプラスして計算をするのです。基本となる数値と計算して出てきた数値を比較し、それより低ければ「陰性」そして高ければ「陽性」となります。そのため、より信用できる検査結果が得られる検査法といえます。
具体的な精度はどれぐらい?
過去にクアトロテストを行った際のデータによると、エドワーズ症候群が77%、開放性神経管奇形が83%、そしてダウン症候群が87%の的中率でした。もちろん100%ではありませんし、確定診断まで可能な検査ではありません。しかし、いずれも高い的中率を示しており、かなり精度の高いといえます。
検査はいつできるのか?
妊娠15週~17週までの期間が推奨されています。21週ごろでも検査自体はできますが、検査結果を待ってから羊水検査を受けるかどうか決めることになります。そのため、遅くても17週までが理想です。また、15週未満なら検査自体が受けられないため、注意しましょう。
クアトロテストで分かること
「対象の疾病を抱えている可能性があること」が分かります。しかし、疾病ごとにそれぞれ数値が異なります。以下、具体的な例を解説していきます。
確率で分かる疾病の可能性
たとえば、ある疾病を抱える確率が、100分の1だったとします。その場合、「同じ確率を持つママが100人いるなかで、そのなかの1人が疾病を抱える子を妊娠している可能性が高い」という解釈になります。
陰性と陽性の違いについて
クアトロテストにおける陰性とは「胎児が対象の疾病である可能性は低いが、100%その疾病ではないとはいい切れない」ということを意味します。
逆に、クアトロテストにおける陽性とは「胎児が対象の疾病である可能性は高いが、100%疾病を抱えて生まれてくるとは限らない」という意味になります。
分からないことや限界は?
クアトロテストは、あくまでスクリーニング検査です。そのため、「確実に疾病を抱えているかどうか」までは分かりません。また、新生児のうち3~5%は、何らかの先天性異常を抱えて生まれてくるとされています。つまり、クアトロテストで疾病が見つからなくても、出生後に疾病や障害が見つかる可能性も充分あり得るのです。
新型出生前診断との違い
「ママから採血し、その構成物を分析して胎児が対象の疾病を抱えている可能性を探ること」といった意味では、クアトロテストも新型出生前診断も共通しています。しかし、いくつか違う点もありますので、どのような違いがあるのか見ていきましょう。
検査できる項目
クアトロテストで検査できるのは、21トリソミー(ダウン症候群)・18トリソミー(エドワード症候群)・開放性神経管奇形の3つで、染色体異常または先天性疾病の確率を割り出すことができます。これに対し新型出生前診断では、18トリソミー(エドワード症候群)・21トリソミー(ダウン症候群)・13トリソミー(パトウ症候群)と、主に染色体異常による疾病が検査できるのです。
検査結果の報告
クアトロテストでは、「100分の1」という数値で検査結果を報告されます。しかし新型出生前診断では、「陽性か陰性か」の2択で報告されるという違いがあります。なお、クアトロテストも出生前診断もあくまでスクリーニング検査ですので、「検査結果=100%確定ではない」といった意味では共通です。そのため、より確実な検査結果がほしい場合は、羊水検査など確定検査を受ける必要があります。
検査条件の制限
クアトロテストなら「妊娠15週~21週」であれば、特別な条件はなくどのママでも検査を受けられます。しかし、新型出生前診断では「妊娠10週~18週のママ」と指定が入ります。さらに、施設やクリニックによっては年齢制限などいくつか制限が設けられている場合もあるのです。そのため新型出生前診断を受けたい場合は、自分が検査を受けられるかどうか事前に確認をとる必要があります。
新型出生前診断と、クアトロテストの違いをご紹介してきました。なお、実際の現場においては、クアトロテストよりも新型出生前診断を希望するママが多いそうです。背景としてはクアトロテストと比較した時、新型出生前診断の方が検査結果の精度が高い点が挙げられます。とくに陰性なら99.9%の的中率を誇るため、信頼性が高いです。そして、確定診断はわずかですが流産のリスクもあるので、それを避けることができます。