母子の健康への悪影響が心配。新型出生前診断の受診にリスクはある?
お腹の中の赤ちゃんに異常がないかどうか調べたいけど、検査を受ける上でのリスクが心配という方は多いのではないでしょうか。なるべく母子共に悪影響の出ない検査を受けたいですよね。今回は、新型出生前診断やその他の出生前診断の検査方法と、それにともなうリスクについてご紹介します。
新型出生前診断の検査方法
新型出生前診断とは、妊婦さんの血液を採取し、その中に含まれる胎児のDNAのかけらを分析し、胎児の染色体に異常がないか調べる検査です。妊娠してから10週以降で検査できるようになり、結果が出るまで2週間ほどかかります。他の検査と比べて、比較的早く受けることができるので、赤ちゃんの状態をいち早く知ることができます。
検査でわかる疾患としては、病院にもよりますが主に「21トリソミー(ダウン症候群)」「18トリソミー」「13トリソミー」の3つです。この3つで染色体異常の約7割を占めます。また、従来の出生前診断と比べても、大変精度が高いため、近年注目を集めています。しかし、新型出生前診断は診断が確定できない検査である「非確定的検査」に分類されるので、もし新型出生前診断で陽性が出た場合、羊水検査などの診断が確定できる検査である「確定的検査」を受ける必要があります。
新型出生前診断の受診にリスクはあるのか?
新型出生前診断は妊婦さんの採血のみとなっているので、リスクはほとんどありません。採血のために腕に注射針を刺す時の痛みがあるくらいなので、母子ともに体に大きな影響を与えることなく受けられる検査だといえます。ただし、先ほども述べたように、リスクは低いですが、検査で陽性となった場合は確定検査を行う必要があります。なぜかというと、新型出生前診断のような非確定的検査は検査精度が100%ではないため、ごく稀に偽陽性になることもあるためです。新型出生前診断はリスクがほとんどありませんが、出た結果を確定することはできないというという点に注意が必要です。
他の出生前診断のリスク
新型出生前診断は採血のみなのでリスクが少ないということがわかりました。それでは他の出生前診断のリスクはどうでしょうか。前述した通り、出生前診断には「非確定的検査」と「確定的検査」の2つに分類されます。この2種類の検査方法の違いから、非確定的検査にはほとんどリスクはなく、確定的検査には流産のリスクがあるといわれています。それでは2種類に分けて、詳しく見ていきましょう。
非確定的検査
新型出生前診断と同じ非確定的検査はほとんどリスクがありません。主な検査としては、「超音波検査」「コンバインド検査」「母体血清マーカー検査」などがあります。
超音波検査は妊娠検診でも行われている検査です。主にダウン症(21トリソミー)を含む重大な先天異常の有無の可能性を調べることができ、妊娠11〜13週頃に実施できます。さらに妊娠19〜20週、28〜30週にも成長や発育、心臓や骨の病気がないかを見ることができます。
次にコンバインド検査とは、超音波検査と採血を組み合わせた検査です。主にダウン症と18トリソミーの有無の可能性を調べることができ、こちらも妊娠11〜13週頃に実施できます。そして母体血清マーカー検査ですが、こちらも新型出生前診断と同じく採血のみの検査となっています。主にダウン症と18トリソミー、開放性神経管奇形の有無の可能性を調べることができ、妊娠15〜18週以降に実施できます。
これらの検査は採血や超音波によるものなので、流産などのリスクはほとんどないといえます。
確定的検査
今まで見てきた非確定的検査とは違い、確定的検査は流産のリスクを伴います。主な検査としては、「羊水検査」と「絨毛検査」があります。羊水検査は、妊婦さんのお腹に針を刺し、胎児を保護する液体(羊水)を採取して染色体異常や遺伝子疾患を調べることができる検査です。流産に至る確率としては約300分の1とされています。その他に起こりうる合併症としては、破水、出血、腹痛、子宮内感染、胎児の受傷、早産などがあります。妊娠15週以降に実施できます。
また、絨毛検査とは、妊婦さんのお腹に針を刺し、胎盤を形成する前の、胎児由来の細胞(絨毛)を採取して染色体異常や遺伝子疾患を調べることができる検査です。流産に至る確率としては約100分の1とされています。その他に起こりうる合併症としては羊水検査と同じように、破水、出血、腹痛、子宮内感染、胎児の受傷、早産などがあります。こちらは妊娠10〜13週頃に実施できます。
これらの検査は腹部に針を刺すため、流産などのリスクがありますが、染色体異常があるかどうかの診断を確定できます。
新型出生前診断は、他の非確定的検査と比べても早い妊娠の段階で受けることのできる、精度の高い安全な検査となっています。しかし、もしこの検査で陽性が出た場合は、羊水検査などの確定的検査を受けて診断を確定させる必要があり、その際には流産のリスクがともなってくるということを理解しておくことが大切です。夫婦で話し合い、あらゆるリスクについて承知した上で検査を受けるようにしましょう。